仔犬男子の反乱
――瞬間、ザワリと波立つ胸。
私にとって都合のよくない“モノ”が、心の中に顔を覗かせる。
……何よ。
何なのよ。
その正体を知りたくなくて、二人に背を向けた。
ばかばかしい。
私が嫉妬……?
いやいや、ありえないから。
頭を振り振り、非常階段の扉を開いた。
カツカツと音を立てて階段を上る。
すると、私とは別の足音がどこからか響いてきた。
珍しいな。
階段を使う人なんて、滅多にいないのに。