仔犬男子の反乱
別段気にも留めず足を進めていると
「理穂さん! 待ってくださいよ!」
――え!? 拓海くん!?
手摺から下を覗くと、軽やかに階段を上ってくる拓海くんの姿が確認できたのだった。
あっという間に追いつく。
「……どうしたの?」
「それはこっちのセリフです」
何で?
「一緒のエレベータに乗るのかと思ったら、階段に行っちゃうから」
――気づいてたの?
「楽しそうに話してたから邪魔かと思って」
……やだ、私ってば。
何で憎まれ口なんか。