仔犬男子の反乱

「あれ? もしかして妬いてます?」

「ま、まさか」


顔を覗き込んでくる拓海くんを避けようとした拍子に


「――きゃっ!」


踏み外した足。


「――あぶなっ!」


咄嗟に出された拓海くんの腕が、転げ落ちそうになった私を引き留めた。


「ちょっ、離してよ」

「いやです」


私を抱きかかえた状態のまま体勢を立て直す。

それでももがく私を、そのまま壁で挟み撃ち。


片手は私の右腕に、もう片方の腕は壁に突いて私の退路をなくす。


完全に動きは封じ込められてしまった。
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