仔犬男子の反乱

さっきより近くなった拓海くんに、なぜか私の顔の温度が急上昇。


「ほんっと理穂さんって危なっかしいんだから」

「な、なによ。……とにかく、そこどいてよ」

「いやです」


普段なら、私がイヤだと言えばあっさり引くくせに。


いつになく強引な態度が私を惑わせる。


仔犬みたいに人懐っこい顔さえ、今はなりを潜めて。

年下だと馬鹿にしていたはずの幼さは、真っ直ぐな目から消え失せていた。


冷たい壁に奪われるはずの体温は、拓海くんに見つめられることでますます上昇していく。


「条件を飲んでくれたら解放してあげる」

「条件って……何よ」
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