仔犬男子の反乱
栗色の天パーに、人懐こい笑みを浮かべた顔立ち。
通称仔犬男子だ。
尻尾を振りながら、何かにつけて私の回りをうろちょろ。
なぜか私に懐いているのだ。
正直、ウザイと思う部分もあるのだけれど、本人は全く気づいていない。
「行かないの?」
拓海くんのいる方向とは逆へ歩き出した私に明美が笑う。
「いいの」
強気に言い返した。
「あらら~可哀想に」
「それなら明美が行ってあげたら?」
「何言ってるのよ。私じゃダメに決まってるじゃない」