俺は今、見知らぬ女に壁ドンされている
冗談じゃねえ、と俺は立ち去ろうとした。



――けど、次の瞬間には、思いきりつんのめっていた。



ゲロを垂れ流した女が、がしっと俺の腕をつかんできたのだ。



驚いて視線を落とすと、うるうるの大きな瞳が俺をじいっと見上げていた。



あまりにもきれいな目に、俺は一瞬フリーズする。


……それがいけなかった。



気づいたら俺は、車掌にずるずる引きずり出される女に引きずられて、一緒に車外に出る羽目になったのだった。




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