俺は今、見知らぬ女に壁ドンされている
ぐでんぐでんの女を改札口と反対側のベンチに座らせ、



「酔いが覚めるまでそうしてろ」



と告げ、再び立ち去ろうとした、が。



「……お客様、もう閉めますので」



近寄ってきた駅員が、申し訳なさそうに言った。


知らなかった。

駅にも閉店時間てあるんだな………。



俺は仕方なく、見知らぬ泥酔ゲロ女を引き連れて、見知らぬ駅の改札を出た。



さて、タクシーでも拾ってこの女を詰め込み、サヨナラしよう。



………と思ったが、その考えも、やはり甘かった。


予想以上に小さい駅で、タクシーの一台も停まっていなかったのだ。




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