俺は今、見知らぬ女に壁ドンされている
ベンチに直行してどすんと腰を下ろすと、やっとのことで吐き気がおさまった。



そこで、男がそそくさと立ち去ろうとしてるのが目に入る。


ムカついたあたしは「おい」と呼び止め、ゆっくりと立ち上がった。



あれだけあたしのことを、絶世の美女だの最高の女性だのと褒めそやしといて、さっさと見捨てようとはどういう了見だ。



「ちょっとそこの男………。

ふざけんじゃないわよ。

酔い潰れた美女を置いて、どこに行くつもり?」



男はちらりと迷惑そうにあたしを見てから、すぐに前を向いて歩き始めた。




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