俺は今、見知らぬ女に壁ドンされている
美女のゲロがヒートテックにまで浸透してきたところで、俺はやっと我に返った。



「……おまっ、何してんだよ!」



美女の口から滝のように流れ落ちてくるゲロから逃れようと、壁ドン中の手を押しのけたところで。



「お客さん………大丈夫ですか?」



救世主――もとい車掌が駆けつけてきた。


俺はゲロ女を車掌に任せて、さっさとこの場から退散しようと立ちあがった。


………が。



「とりあえず、彼女さんを電車から降ろしてください」


「………は?」



車掌の言葉に、俺は不覚にもぴたりと動きを止めてしまった。


どうやら車掌は、このゲロ女を俺の恋人だと思っているらしい。



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