潰れたリップクリーム。


腕を組んで一生懸命考えた結果、


「長谷部があたしのストーカーだから?」


「自意識過剰気持ち悪いな」


「じゃあ何さ」


一応一生懸命考えたのに、そんな引く視線やめてほしい。


「兄貴に聞いた…ってか、あのチロルチョコ兄貴から渡されてた」


「……」


「“南はこの味が好きだからあいつと接することがあったらこれあげてくれ”って」


「なにそれ…」



さっきもらったチロルチョコが入ったブレザーのポケットを強く握る。


「南」


「…」


「俺、お前のこと支えるから」


「なにそれ…」



長谷部は眉毛を下げながら微笑むとドアの方へ指を指す方へ視線を向ける。


「あ……」


「凜」


「巧…先輩」



突然の巧先輩の登場に立ち上がる。


巧先輩は長谷部と同じ表情をして立っていた。



「ちょっと話せる?」


「……はい」


「優、教室借りるな」


「ん…南、後でな」



長谷部は背中をポンっと叩くと、教室から出て行った。


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