仕返し【壁ドン企画短編小説】
「……よくないですよ、先輩」
だらっだらと私は何度も目の前の人に力説していた。
その人物がはあっと溜め息をつくと、ぼそっと呟く様に言う。
「なぁにがだ、ええ?どこが?お酒足りてないんじゃないの?久住君」
目の前の人物は、今度一緒のプロジェクトをやる久住君。
マッシュヘアで、今時男子って感じ。
見た目だけでいうと、草食系。
そんな彼を今日私は上司命令だって言って連れ回している。
迷惑そうな顔。
でも、ハッキリと拒否する言葉を言う事はない。
「明日も仕事ですよ」
「知ってるわ!捨てられた独身アラサー女には仕事しかないんだよ!」
「帰りましょうよ」
「えええ」
「……」
心底、うざそうに私を見る久住君。
でも、へっちゃらだからね。
お酒は無敵なんだからね。