仕返し【壁ドン企画短編小説】
「んじゃ、カラオケオールしようか!久住君!」
何度も店を出ようと言うから、私は仕方なくそのお店を後にした。
だけど、その軒先で彼の肩に腕を回しながら絡む。
「……先輩、今日はまじで帰った方がいいですよ」
「ええー」
「はい、こっちです。駅」
「つまんなぁーい!」
「それでもいいですから」
なんともクールな。
ええ、ドライですね。
熱くなれ、若者よ。
松岡修三でも同じ事言うぞ。
そんなバカな事を考えてる私の腕から逃れると、久住君はスタスタと先を歩く。
そんな彼にイラっと来る。
いや、イライラするのはお門違い。
寧ろ、彼は私の話しに散々付き合ってくれて、更には文句一つ言わなかったんだ。
感謝をする事はあっても、切れる事は間違っている。