仕返し【壁ドン企画短編小説】

だけどもね。
今の私の沸点はアルコールの所為ですこぶる低い。


いいかい、久住君。
今の私の沸点はアルコールの所為ですこぶる低いんだよ。


大事なことなので、二回言ってみた。

ようし。
そのスカした顔を、動揺させてみようじゃないか。


ニヤっと口角を上げると、私は先を歩く彼の腕を掴む。


「うおっ!?」


そんな変な声がしたけど、お構い無しに横道に引っ張りこむ。


「ちょ、先輩!?」


久住君を壁に追いやると、驚く彼の顔の横に手をドンっとつく。

まあ、今ヒール履いてて身長差あんまないからやれるんだが。
身長差あったら、滑稽だもんね。


「酔っ払いって思ったでしょ」

「……」


薄暗い中で、彼の顔がハッキリと見える。
スッキリとした細長の瞳。
< 5 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop