仕返し【壁ドン企画短編小説】
だけどもね。
今の私の沸点はアルコールの所為ですこぶる低い。
いいかい、久住君。
今の私の沸点はアルコールの所為ですこぶる低いんだよ。
大事なことなので、二回言ってみた。
ようし。
そのスカした顔を、動揺させてみようじゃないか。
ニヤっと口角を上げると、私は先を歩く彼の腕を掴む。
「うおっ!?」
そんな変な声がしたけど、お構い無しに横道に引っ張りこむ。
「ちょ、先輩!?」
久住君を壁に追いやると、驚く彼の顔の横に手をドンっとつく。
まあ、今ヒール履いてて身長差あんまないからやれるんだが。
身長差あったら、滑稽だもんね。
「酔っ払いって思ったでしょ」
「……」
薄暗い中で、彼の顔がハッキリと見える。
スッキリとした細長の瞳。