仕返し【壁ドン企画短編小説】
「今日、私は傷心なの。最後まで付き合いなさいよ」
「……」
久住君は私から視線を逸らす事が無い。
黙ってる久住君にまた突っかかろうとした時だ。
急に視点が反転して、背中にドンっと衝撃が走る。
掴まれている腕が痛い。
何が起こった?
そう、理解しようとした時、顔の横にさっき私がした様に久住君がドンっと手をついた。
「……先輩、あんま舐めないでくれます?」
「へ?」
素っ頓狂な声を上げる私に、彼は盛大に溜め息をつく。
「俺も男なんですよ?
それに、先輩の事好きなんですけど?」
え?
……好き?
鋭く私を射る様に見る彼に、ドキっとした。
それから、薄く笑みを浮かべると。
「最後までって覚悟あるんですか?」
と、嘲笑するように彼が言った。