仕返し【壁ドン企画短編小説】
「んじゃ、今日は帰りますよ?」
そう言うと、彼は私の指に自分の指を絡め合わせた。
離さないとでも言う様に、しっかりと繋がれた手と手。
「……ロールキャベツか」
私はぼそっと呟く。
草食の皮を被った肉食系め。
「はい?ロールキャベツは好きですよ?」
首を傾げて、そういう彼に私は慌てて首を振る。
「いや、……うん、美味しいよね」
どうにか彼に合わせると、私はあははっと笑った。
だけども。
「見た目で判断しないで下さいね?
もう、遠慮しないんで」
――――……私はどうやら彼のS心に火を点けてしまったらしい。