私、立候補します!
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城へと到着するとエドワードを始めとした部下や使用人達に迎えられて言葉を交わすラディアント。ラディアントの近くに控えていたチェインも言葉を交わしていく。
エレナも次々と言葉をかけられ笑顔で話し終えるとエドワードに呼ばれ、ラディアントとチェインと集まっていたエドワードのもとへと歩いて行った。
「エレナさん、体の具合はいかがですか?」
「サンダースさんの治療のお陰でよくなりました」
ありがとうございます、と笑うエレナに目尻をゆるめたエドワード。
しかし、くるりと体を動かしてチェインを見るなりゆるめた目尻をきっとつり上げ、かつかつと靴音をたてて早足で彼の前へと立った。
「出発前に俺が言ったことを忘れていないだろうな? お二人を危険からお守りしろと何度も言ったはずだが」
「いくら僕だって忘れるわけないでしょ? だけど今回は予想外のことだったんだから君が行ってたってそう変わらないよ」
次期カルバン家の当主が相手じゃ君だって簡単に手は出せないでしょう、と顔をしかめながら言う従兄弟にエドワードはぐっと言葉をつまらせたが、かっと目を開くとチェインの左腕を強くつかんで歩き始めていく。
「ちょっとエドワード?」
「今回の事でお前がほとんど役に立っていないと聞いたと共に行っていた兵士から情報は入っている。今から剣術と体術の訓練をするぞ」
「え、今から? 帰ってきたばかりなのに?」
「文句を言う元気があるなら問題ないだろう。――それではラディアント様、エレナさん、失礼します」
足を止め、ラディアント達に再度向き合い頭を下げたエドワードは今度こそチェインの腕をつかんだまま足を止めることなく城の中へと歩いて行った。
(チェインさん大丈夫かな……。エドワードさん怒っていたような気がするんだけど……)
「チェインなら大丈夫。彼も訓練を受けている人間だし、エドワードも彼のことをよく知っているから節度はわきまえているはずだよ」
私達も中に入ろうとラディアントに促されたエレナは、引きずられるように連れていかれたチェインを気にしながらもラディアントと共に遅れて城の中へと入っていった。