私、立候補します!
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「エレナお姉ちゃんどうしたの? 顔が赤いよ?」
「何でもないよ」
夕食後に食堂から部屋に戻ろうとしていると、近くに寄ってきたアレクセイが不思議そうに見上げてきた。
エレナは笑って顔を横に向けることで頬に未だ残る熱を誤魔化していく。
ラディアント達に逃げ道を塞がれたエレナは結局全ての怪我をラディアントに治された。
さすがのエレナも男性に体を見られることに恥ずかしさを感じて目を閉じて体を縮こまらせたが、予想と違ってラディアントが服を捲ったり脱がせることはなく。
全身が心地よい温もりに包まれたと思ったら、ソファーに座って感じていた痛みや動くことで感じた痛みもふっと消え去った。
ぱちぱちとまばたきを繰り返すエレナにラディアントは目を細めて悪戯っ子のような表情を浮かべ、からからったことを告げる。
その時のことが頭から離れず、勘違いした恥ずかしさから頬の熱が未だにひかなかった。
(そうだよね……。心は男性なんだしチェインさんもいたしそんなことするわけないよね)
うんうんと一人頷いて納得するエレナをアレクセイは首を傾げて見ていたが、ふと窓の外を見てわぁっ、と声を出して窓に近づいていった。
エレナもアレクセイにつられて窓際に立つと、薄暗く夜を迎えようとする空に輝き始めた月が浮かぶのに目が向く。
(ラディアント様戻ったかなぁ……)
離れた席で共に食事をしていたラディアントの姿を思い出し、本来の姿を重ね合わせる。
戻った際にさっと遠目から見た程度では違いは分からないものの、近づけば体つきが違うことが分かるし、声を聞けばすぐに分かる。
本人が言うには本来の姿の方が魔力の回復が速いらしい。
治療を受けたエレナが魔力消費による体の負担を気にして問いかけるとそうラディアントが話した。
軽い怪我を治すくらいなら負担はほとんどないし、今夜元の姿になって休めば明日にはすっかり戻るから心配はいらないと笑っていた。
エレナは月を眺めてよかったと小さく呟き、手を差し出してくるアレクセイと手を繋いだ。
***
(眠れない……)
アレクセイと別れ、部屋でウィリアムから借りた本を読んでいたエレナ。
頃合いを見て眠ろうとベッドに入るもなかなか寝つけず、眠ろうと思うほどに目は冴えていく。
ベッドから出て気分転換にと窓を見たエレナは外に見えた人物に目を見開いた。