檸檬
私と榊の関係を言葉にするのは難解なようで容易。
三人の中では一番年下の彼が、女と腕を組んで歩いている。
その腕で、私を抱いたんでしょう? なんて悲観的な顔をしようとは思わないけれど。
「榊。これ宜しく」
他大にまでわざわざ来たので、榊が女といるのを見ただけで帰るというのは馬鹿馬鹿しい。
女は視界に入れず資料だけ榊に向けた。驚いた顔をした榊は、女に私の存在を知られたくないのか私の手首ごと掴んで歩き始めた。
「悪い、先行ってて」
嗚呼、そんな風にフランクに話したりもするのね、なんて思ってみたりして。