my sweet devil


校門で、笑顔の芽依が俺に手を振る。


俺は笑顔を向けると走って芽依の元に向かった。


テスト期間は部活がなく、芽依と一緒に帰ることができる。



学校が見えなくなるとどちらからともなく手を繋いで


家が近付くと互いに名残惜しそうに手を離した。



今日は両親が母方の実家に出かけていて、夜二人きりだと思うと柄にもなくドキドキする。



だからわからなかったんだ


芽依の笑顔の裏に、悲しみが潜んでいるなんて。




二人でご飯を作って食べて


笑顔ばかりが生まれていた二人の時間が



色を変えたのは突然だった。


そう、本当に……





ソファに座る芽依を、ギュッと抱きしめる。


お風呂上がりの芽依からは、俺を誘ういい香りがした。



「芽依……」


呟くと、愛しくて仕方がなくなってソファに芽依を押し倒した。



そして、キスをしようと芽依の顔を見た時



「…芽依……?」



芽依は涙を流していた。



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