my sweet devil


「あら、ただいま芽依!」


「おかえり」



お母さんの明るい笑顔に、私も思わず笑顔になった。


「これお土産。あっちゃんと二人で食べてね」


その言葉に、ズキンと胸が痛くなる。



あっちゃんはもう、私と顔もあわせてくれないかもしれない


もう、口も聞いてくれないかもしれない



そう思うと、目の前が真っ暗になった。



「あ、でもあっちゃんいないか」


お母さんのその言葉に、私は耳を疑った。



「知らなかったの?芽依。今日からあっちゃんバスケ部の合宿なのよ」


「え?でもテストは……」


「テストが終わるまでは学校に泊まるの。テストが終わったら、県外に行くんだって」



私、あっちゃんのこと何も知らなかった……


ずっとそばにいたのに。



それに、あっちゃんはなんで合宿のこと私に言ってくれなかったんだろう



もしかして……こうなることをわかっていたの……?



「しばらく寂しくなるわねぇ……」



お母さんはそう、呟いた。





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