my sweet devil


「芽依ちゃん!」


夢中で走ってたから、亮太郎くんが追いかけてきてたのも気づかなくて


腕を掴まれた時にはもう、涙が溢れていた。



「またアイツのこと、想ってるんだ」


怖くて亮太郎くんの顔が見れない。


そんな私に、優しい声が降ってきた。



「いいんじゃねぇの?好きなら好きで。」


その言葉にハッとする。


「芽依ちゃん、朝陽に言ってたよね?それ芽依ちゃんにも当てはまると思うんだけど」


アイツにも……、と亮太郎くんは付け加えた。


「でも、私とあっちゃんは姉弟で……っ」


「だからって、諦められるの?」


胸がズキッと痛んだ。


諦められるわけ、ない


こんなにあっちゃんが好きで


あっちゃんのことになるとこんなに胸が痛んで



諦められるわけ、ない……っ


「姉弟ってこと気にしてるの、芽依ちゃんだけに見えたけど」


「え………?」


「アイツはもう、姉弟とか関係ない。自分の気持ちに正直になるって、覚悟してるように見えた……」


そうなんだ


私も自分の気持ちに正直になるって決めたはずなのに


やっぱり、怖かったんだ…



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