my sweet devil
「芽依ちゃんの気持ち、すっげーわかるよ。アイツと一緒になれば、家族が壊れるからな。それが怖いんだろ?」
亮太郎くんに掴まれた腕はすごく痛くて
亮太郎くんも辛いのかな、って少し思った。
「だけどさ、芽依ちゃん。やってみなきゃわかんねぇじゃん。みんなが幸せになれる結末なんて、ないのかもしれない。だけど……、たまには自分の幸せのために、生きてみるのもありなんじゃない?」
「亮太郎くん…」
「アイツのところ、行きな。岡田が居場所、知ってんじゃね?」
「ごめんね、ありがとう……」
「いいよ、これくらい」
亮太郎くんの笑顔に安心して、私は教室に向かって走り出した。
「好きなら好きでいい……。俺も、芽依ちゃんのことまだ、好きでいていいのかな…」
そう言って亮太郎くんが、俯いて涙を流していることにも気づかずに……
教室に着くと、私は意を決して岡田さんに声をかけた。
「岡田さん、あっちゃんは今、どこにいるの?」
あっちゃんはもしかしたら今、岡田さんと付き合っているのかもしれない。
前、たまたま二人の姿を見たから
だけど、気持ちを伝えるくらいいいよね?
そう思っていると、岡田さんは話がある、と私を屋上に誘った。
先に歩く岡田さんを、私は小走りで追いかけた。
*