my sweet devil

「芽依ちゃんの気持ち、すっげーわかるよ。アイツと一緒になれば、家族が壊れるからな。それが怖いんだろ?」


亮太郎くんに掴まれた腕はすごく痛くて


亮太郎くんも辛いのかな、って少し思った。



「だけどさ、芽依ちゃん。やってみなきゃわかんねぇじゃん。みんなが幸せになれる結末なんて、ないのかもしれない。だけど……、たまには自分の幸せのために、生きてみるのもありなんじゃない?」


「亮太郎くん…」


「アイツのところ、行きな。岡田が居場所、知ってんじゃね?」


「ごめんね、ありがとう……」


「いいよ、これくらい」



亮太郎くんの笑顔に安心して、私は教室に向かって走り出した。




「好きなら好きでいい……。俺も、芽依ちゃんのことまだ、好きでいていいのかな…」


そう言って亮太郎くんが、俯いて涙を流していることにも気づかずに……







教室に着くと、私は意を決して岡田さんに声をかけた。


「岡田さん、あっちゃんは今、どこにいるの?」


あっちゃんはもしかしたら今、岡田さんと付き合っているのかもしれない。


前、たまたま二人の姿を見たから


だけど、気持ちを伝えるくらいいいよね?


そう思っていると、岡田さんは話がある、と私を屋上に誘った。


先に歩く岡田さんを、私は小走りで追いかけた。




*
< 125 / 134 >

この作品をシェア

pagetop