my sweet devil


屋上に着くと、岡田さんはゆっくり振り向いた。


岡田さんの後ろには、大分前に花が散った桜の木が見える。



「ごめんなさい!」


「え?」


予想もしてなかった岡田さんの言葉に、私は呆気にとられてしまった。



「私、篤志くんのまっすぐなところが大好きだった。バスケに対して、芽依ちゃんに対してまっすぐなところが…」


岡田さんの大きな瞳から、涙が一粒零れた。


「ということは私、芽依ちゃんを好きな篤志くんが好きだったのよ」


「岡田さん……」


「邪魔なんてしても、叶うはずなかった。もっと早く、気づくべきだった…」



そう言って涙を流す岡田さんはキレイで……。



「岡田さんは、キレイだよ」


きっと現れる。


岡田さんだけを、見てくれる人。



「篤志くんと同じこと言うのね」


そう言って笑うと、岡田さんは快くあっちゃんの居場所を教えてくれた。



待っててね、あっちゃん。


私が持ってる少しだけの勇気を持って、あっちゃんのところに行くから……




*
< 126 / 134 >

この作品をシェア

pagetop