my sweet devil
屋上に着くと、岡田さんはゆっくり振り向いた。
岡田さんの後ろには、大分前に花が散った桜の木が見える。
「ごめんなさい!」
「え?」
予想もしてなかった岡田さんの言葉に、私は呆気にとられてしまった。
「私、篤志くんのまっすぐなところが大好きだった。バスケに対して、芽依ちゃんに対してまっすぐなところが…」
岡田さんの大きな瞳から、涙が一粒零れた。
「ということは私、芽依ちゃんを好きな篤志くんが好きだったのよ」
「岡田さん……」
「邪魔なんてしても、叶うはずなかった。もっと早く、気づくべきだった…」
そう言って涙を流す岡田さんはキレイで……。
「岡田さんは、キレイだよ」
きっと現れる。
岡田さんだけを、見てくれる人。
「篤志くんと同じこと言うのね」
そう言って笑うと、岡田さんは快くあっちゃんの居場所を教えてくれた。
待っててね、あっちゃん。
私が持ってる少しだけの勇気を持って、あっちゃんのところに行くから……
*