my sweet devil
「好きな人?」
「うん、そうだよ。世界で一番好きな人。」
「離れちゃったの?」
「……うん」
「どうして?」
エリカちゃんの純粋な声に、言葉が詰まる。
芽依のため
家族のため
そう、気持ちを抑えることができなくなって、芽依に気持ちをぶつけた。
結局、芽依を傷つけて。
それで思ったんだ。
芽依を傷つけるくらいなら、親父には悪いけど、俺は家族を捨てる。
それでまた芽依は傷つくかもしれないけど、その何倍も、芽依を幸せにしてやるんだ。
俺の手で。
芽依が、俺が芽依を想うのと同じくらい、俺を愛してくれてるなら
俺以外の誰が、芽依を幸せにできる?
……絶対、いねぇ。
俺が、芽依を幸せにするんだ。
「俺が、弱かったから」
「篤志くん、頑張ってね」
「うん、ありがとう」
それからしばらく遊んで
俺たちはまた手を繋いで、別荘へと帰った。
*