my sweet devil



エリカちゃんを別荘に送ると、悠の別荘へと向かう。


日が暮れて、少し涼しくなった。


そろそろ、家に帰らないとな…


悠となっちゃんにも迷惑かけるし


母さんも心配するだろうし。



その時。


「あっちゃん!」


愛しい声が聞こえたんだ。


「芽依……?」


前を見ると、悠の別荘の前に見える人影。


芽依、なのか…?


でも、まさか芽依が……


だけど、俺が芽依の声を聞き間違えるわけがない。


「芽依…っ…」


俺は、別荘までの道を走った。


別荘に近づくにつれて、鮮明になる人影。


「あっちゃん」


ちゃんと見えた時にはもう、芽依を腕の中に閉じ込めていた。


「芽依、芽依……」


何度も芽依を呼ぶと、その度に芽依は俺の背中に回す手を強くした。


「あっちゃん、ごめんね。弱くてごめんなさい。だけど、もう無理なの。あっちゃんが好きでたまらない」


「あぁ、俺もだ……っ」


愛しすぎて、涙が出た。


「愛してる……」


二人同時に言うと、俺たちは何度も何度もキスをした。




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