my sweet devil

○芽依○




「迷う…」


ココアか、オレンジジュースか



ど、どうしよう……



その時


自販機にトンと置かれた手


背中に感じる温もり



……この匂い、知ってる




「あああ、あっちゃん…?」


「なに?」



耳元で聞こえる声


やだ、私絶対顔真っ赤……




「ち、近くない…?」


「そう?」



近いよ、近すぎるよ…!!



触れてる部分が熱を持っていく。


背中、肩、耳…



「あっちゃん……」


嬉しいけど、人がいっぱい…



「ぷっ」


え?『ぷっ』?


私がキョトンとしていると、パッとあっちゃんが離れた。



「ハハ、お前顔真っ赤」


「なッ…!!」


「冗談だっつの!」



冗談……?



「くっついたらお前真っ赤になるから、おもしろくて」


「ヒド…っ」


「たこみてぇ…」


「た、たこって!りんごとかトマトとか、もっと可愛いのにして!」


「………」


ジーッと目を見ながら、顔を近付けてくるあっちゃん。


そんな綺麗な顔で見つめられたら、私……ッ



「ぷっ。やっぱたこだな」


「なっ!ちょっと、あっちゃん!!」




*
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