my sweet devil
「きみのなまえは?」
「ぼくのなまえはあつしだよ!」
「あつし?じゃぁ、あっちゃんだね!」
『あっちゃん』
初めてできた自分のあだ名に、ひどく胸が踊ったのを覚えてる。
「ねぇ、あっちゃん。どうしてないてたの?」
「おかあさんがね。ぼくをおいて死んじゃったんだ…」
「お病気?」
「うん、おびょうき…でもね、ほんとはおとうさんのせいなんだ。おとうさんがおしごとばっかりして、おかあさんにぜんぶおしつけてたから。さみしいおもいさせてたから」
止まった涙が、また溢れ出した。
「おとうさんのせいだ……っ」
「あっちゃん、それはちがうよ」
「え……?」
「おとうさんはね、あっちゃんとおかあさんのためにおしごとがんばってたんだよ。だからおとうさんはわるくないよ!あっちゃんもわるくない!」
そう言って、芽依はニッと笑った。
「めいはねぇ、おとうさんが死んじゃったんだ。おしごとがんばりすぎて」
「……え……?」
「おかあさんがね、いってたの。おとうさんはめいとおかあさんのためにおしごとがんばってたんだよ。だからおとうさんのためにもがんばって生きようね、って」
「めいちゃん…」
*