my sweet devil
「だからおとうさんのせいじゃないよ!おとうさん、がんばってるんだよ!」
恥ずかしかった。
何も知らない自分が。
帰ってから、「おとうさん、いつもありがとう」って言うと、親父は泣きながら俺を抱き締めたっけ。
「そうなんだ…」
「そうだよ!」
母親が死んでから初めて笑えた。
その時。
「芽依ー!!」
芽依を呼ぶ声が聞こえた。
芽依の母親、つまり今の俺の母親の声。
「あ、おかあさんだ!わたし、もういくね!」
「うん!めいちゃん、またあえる?」
「またあえるよ!」
芽依は、笑いながら手を振った。
まるで、芽依は桜の花びらに包まれているかのようで
やっぱり天使なのかな?って見つめてた。
芽依が去った後
俺の心はポカポカと温かくなっていた。
それから2年後。
天使はまた俺の前に姿を表す。
『姉』という、残酷な形で。
「あっちゃん、はじめまして!」
俺は、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
また、会えた……
この時にはもう気付いてた。
俺はこの天使に恋をしているのだと。
*