my sweet devil



「へー……」


なんでだろうな?


なんで芽依は俺の『姉』なんだろうな?


なんで神様はこんなに残酷なんだろうな?



「篤志は……よく頑張ってるよ」


「………」


「届くといいな」


悠の声が、俺の心に染み渡った。



「悠!」


屋上の入り口から、透き通った声が聞こえる。



「え、あ、ごめんなさい…」



恥ずかしそうに下を向く可愛い女の子。


「……菜月」


菜月ちゃん。悠の彼女。



「ごめんなさい…下から悠が見えたから…まさか、篤志くんと喋ってるなんて思わなくて…」


「いいよ、なっちゃん。悠、行けよ」


「…あぁ、ごめんな篤志」


「おう」



悠はなっちゃんの傍に行くと、なっちゃんの頭を撫でながら屋上を出て行った。


……っとに。


悔しいけど、なっちゃんといる時の悠だけは


男の俺からもカッコよく見える。



惚れてんだなぁ……


女癖悪かったくせに。



幸せそうな顔しやがって。


俺も芽依といる時は、あんな顔してんだろうな…


俺の場合は片想いだけれど。


でも誰かを愛しく想うってすごい幸せなことで。


俺はそれを悠となっちゃん、そして芽依に教えてもらったんだ……



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