my sweet devil
『好きな人が、いるんだ』
私は杉浦くんの目を見てハッキリそう言った。
叶わない恋だけど
好きになってはいけない人だけど
自信を持って、『あっちゃんが好き』と言える。
『そっ、か…』
そんな私の態度に、杉浦くんは一瞬悲しそうな顔を見せた。
こんなに素敵な人だもの。
私なんかよりもっといい人が見つかるよ
『……ねぇ』
『え?』
『そんな簡単に、諦めらんねぇよ……入学した時からずっと、好きだったんだから』
う、そ……
入学って、え……?
『俺が、新入生代表挨拶したの覚えてる?』
『うん、覚えてるよ』
だって、あの頃から杉浦くんは有名だったもの。
『新入生代表の人、すごいカッコよかったよね?!』
『うん!私、アド聞いちゃおっかなぁ』
周りの女の子たちが、騒いでたのを覚えてる。
『じゃあ、その前にさ。喋ったことも覚えてる?』
しゃべ……え?喋ったの?
私と杉浦くんが?!
『やっぱ、覚えてないか…』
杉浦くんは、苦笑して俯いた。
*