my sweet devil
2時間くらい勉強して、そろそろ目が疲れてきた頃
時々聞き耳を立てたりチラチラ見ていた体育館が、静かになった。
急いで勉強道具を片付けると、鞄を持って走り出す。
勉強してた、もう一つの理由
あっちゃんと、一緒に帰りたくって。
最近、あっちゃん優しいから、きっと許してくれると思うんだ。
『自分の力でレギュラー取ったら、芽依に言うから』
あんなこと好きな人に言われたら、誰でも嬉しくなっちゃうよね?
下駄箱に着くと、靴を履き替えてあっちゃんを待った。
昨日の言葉を思い出しながら……
その時。
「平岡さん?」
急に名前を呼ばれて視線を向けると……
「っ、杉浦くん!」
「どうしたの?こんな時間に…」
「え、あ、図書館で…」
「……芽依?」
急に聞こえた声は……大好きな人の声で。
そちらを見ると、あっちゃんが怪訝そうに私たちを見ていた。
そして、一歩一歩近付いてくる。
「あ、あっちゃん、部活……」
「終わった」
「あっちゃん?」
あっちゃんと杉浦くんの声が重なって。
そういえば
杉浦くんの頭の中では
『あっちゃん=私の好きな人』って、なってるんだよね?
*