my sweet devil


2時間くらい勉強して、そろそろ目が疲れてきた頃



時々聞き耳を立てたりチラチラ見ていた体育館が、静かになった。


急いで勉強道具を片付けると、鞄を持って走り出す。



勉強してた、もう一つの理由



あっちゃんと、一緒に帰りたくって。


最近、あっちゃん優しいから、きっと許してくれると思うんだ。





『自分の力でレギュラー取ったら、芽依に言うから』


あんなこと好きな人に言われたら、誰でも嬉しくなっちゃうよね?







下駄箱に着くと、靴を履き替えてあっちゃんを待った。


昨日の言葉を思い出しながら……




その時。



「平岡さん?」


急に名前を呼ばれて視線を向けると……



「っ、杉浦くん!」


「どうしたの?こんな時間に…」


「え、あ、図書館で…」



「……芽依?」


急に聞こえた声は……大好きな人の声で。


そちらを見ると、あっちゃんが怪訝そうに私たちを見ていた。



そして、一歩一歩近付いてくる。



「あ、あっちゃん、部活……」


「終わった」


「あっちゃん?」



あっちゃんと杉浦くんの声が重なって。


そういえば


杉浦くんの頭の中では


『あっちゃん=私の好きな人』って、なってるんだよね?



*
< 50 / 134 >

この作品をシェア

pagetop