my sweet devil


玄関のドアを急いで開けると、芽依の靴がある。


やっぱり、芽依は……



足音を立てないように、ゆっくり芽依の部屋に近付く。


そしてドアを開けると……


「………っ」


布団の中にうずくまる芽依の姿。



もしかして


あの日からずっと


ご飯も食べずに


ずっと泣いてたの……?



芽依が眠るベッドの傍に寄って、その場に座る。


「……芽依」


名前を呼ぶと、芽依の体がビクッと揺れた。


「泣いてるの?」


芽依は何も答えない。


でも時々、小さく鼻をすする声が聞こえる。



「なぁ、俺が芽依を泣かせてる?それとも、杉浦……?」


「…………」


「なぁ、芽依……」



芽依に触れようとすると、芽依がガバッと起き上がった。



「あっちゃんが……!あっちゃんが近寄らないとか言うから……あんなキスしたくせに、近寄らないとか、言うから……」


俺は思わず、ベッドに上がってギュッと芽依を抱き締めた。


ずっと泣いてたからヒドイ顔だし


ずっと寝てたからヒドイ頭だし



でも


こんなに愛しくて仕方ない。



俺のせいで芽依がこんなにぐちゃぐちゃになったなんて


嬉しくて嬉しくて


頭がおかしくなりそうだ。



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