my sweet devil


「あ、来た!こっちだよ!」


遊園地に着くと、岡田さんがこっちにわかるようにブンブン手を振った。


あっちゃんは持っているコーヒーの缶を見つめて、こっちを見ることは一度もない。



「遅くなってごめんねっ!」


私は二人に走り寄りながら笑顔を見せた。


ねぇ、亮太郎くん


私ちゃんと、笑えてる?



「うぅん、私たちも今来たばかりだから」


岡田さんは幸せそうな笑み。


私は……?



ねぇ、あっちゃん


私の顔を見て、私がちゃんと笑えてるか教えてよ



そう言ったら、あっちゃんはこっちを見てくれる?


気持ちを知ったはずなのに


あっちゃんの気持ちに応えられなかったのは私なのに


あっちゃんに片想いしてるみたいで痛かった。辛かった。




「篤志くん、いつまでコーヒー飲んでるの!早く行くよ!」


岡田さんがあっちゃんの手を引っ張って


「はいはい」


少し微笑みながらそれに応えるあっちゃん。


そんな二人はまるで、本当に好き合っているカップルのようで。


うらやましい、なんて言葉じゃ納まらない。


『姉弟』のあっちゃんと私には一生ありえないこと。


悔しかった


再婚して幸せになっている両親を憎むなんて、最低なことをしてしまった



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