my sweet devil
「ねぇ、まずあれ乗ろ!」
そう言って岡田さんが指差したのはこの遊園地で一番の絶叫系。
絶叫系が大嫌いな私の顔が引きつる。
ねぇ、あっちゃんは私が絶叫系嫌いなこと知ってるよね?
それなら……
「いいですね、乗りましょう」
岡田さんと二人きりになりたかった?
私が絶対に乗らないと思ってる?
「わ、私も!乗りたい!」
どうしても
あっちゃんと岡田さんを二人きりにしたくないの。
でも、私の出した声は自分が思う以上に震えてて、情けなくて
歩き出そうとした私の首に、亮太郎くんが腕を回した。
「……嫌いなんだろ?」
「………っ」
亮太郎くんは二人に聞こえないように、耳元で話す。
「無理すんな」
だって、二人きりになっちゃうよ。
私の知らないあっちゃんを岡田さんが見るのが、辛くてたまらないんだよ。
「行っていいよ。俺ら下で待ってるから」
抵抗する私をギュッて抱き締めて、亮太郎くんは二人に言った。
二人が見えなくなった時
我慢してた涙が、溢れてしまったんだ。
「ふっ…ふぇ」
「泣くなよー…俺が泣きたいって…」
亮太郎くんは私を強く抱き締めたまま、私の肩に頭を置いた。
「俺だって好きなんだよ…」
亮太郎くんの声が、切なく響いた。
*