my sweet devil


それから、私は普通に笑って、普通に楽しんでいた。


あっちゃんは相変わらず私を見てくれなかったけど


岡田さんがあっちゃんに触る度に胸は痛くなったけど


自分の気持ちに正直になった今


怖いことはなかった。



「次、ここ入ろ!」


……お、お化け屋敷は例外です……


「何?芽依ちゃん、ここも嫌いなの?」


隣にいる亮太郎くんがおもしろそうに私を見る。



だってここ、『本当に怖い』って評判のお化け屋敷だよ?!


絶対嫌だー!!



「じゃぁ、今回も待っててくれる?」


岡田さんが申し訳なさそうに言った時


「いや、俺らも入るよ」


亮太郎くんが明るい声で言った。



「ちょ、ちょっと…!」


「ほら、後ろ詰まってるよ?」


冷静になって後ろを見てみると


『入るなら早く入れよ』って目たちが、いっぱい私を見ていた。



「は、入ります……」


「はい、決まりー!」


亮太郎くん、絶対私で遊んでるよ……



「このアトラクションは、二人ペアで入っていただきますので、ペアになってください」


係員のお姉さんが笑顔で言う。


初めからわかりきってることわざわざ言わないでよ。


前でイチャイチャしてる二人がペア


そんなこと、誰が見てもわかる。



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