my sweet devil


「芽依…」


あっちゃんのキスは優しくて。


愛しい気持ちが、溢れ出してく。


「芽依…」


切なく響くあっちゃんの声と同時に


「篤志くん?!」


どこかで聞こえるあっちゃんを探す岡田さんの声。



くっつけたままだった唇を離して、あっちゃんは苦笑した。


「やっべ、置いて来たんだった。……逃げよっか」


ニヤッと笑うとあっちゃんは私の手を引っ張って走り出す。



久しぶりに繋いだ手から上昇してく温度


すれ違うカップルが、驚いた瞳で私たちを見る。



彼らの瞳には、私たちも恋人同士に見えてるかな?


入り口から出ると、明るい光が私たちを包む。



「置いて来てよかったの?」


私の手を引いてズンズン進むあっちゃんに形だけの抵抗


あっちゃんは私を振り向いてニヤリと笑うと


「嫉妬してたくせに」


おもしろそうに言った。



「だって、だって……」


「可愛かったなぁ…大嫌いな絶叫系を必死に乗ろうとして。芽依が俺のためにあそこまでしてくれるなんて」


嬉しくて死にそうだった


そう言ったあっちゃんは、本当に意地悪だと思う


あんな気持ちにさせておいて


今はそんな言葉で私を真っ赤にさせる。



私はきっと、一生この人に適わない。



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