my sweet devil
●篤志●
俺が顔を近付ける度に、頬を真っ赤に染めて
あぁ、なんでこんなに可愛いんだろ……
まさか、本当に芽依から『好き』って言葉が出てくるとは予想もしてなくて。
情けないほどに声が震えた。
そんな俺を芽依が笑うから
俺はいっぱいいっぱいなのに、なんでコイツはこんなに余裕あんだよって悔しくなって
手をギュッて握ると芽依の小さい手が震えていた。
あぁ、芽依も俺と同じなんだって思った。
誰よりも相手が好きで大事で
何度諦めようとしてもできなくて
もどかしい気持ちを胸にずっと抱いて
俺たちはすごく遠回りをしたんだな。
『姉弟』という肩書きに縛られて
きっとそれは、これからも俺たちを縛り続ける。
だけど、周りに認めてもらえなくても
結婚できなくても
俺は別にいいと思うんだ。
『肩書き』を世界一嫌う俺の、些細な抵抗かも知れないけれど。
それでも俺は、芽依だけを一生愛していく自信があるから。
愛のない結婚をする人よりも
俺たちのほうが何倍も幸せだと思うんだ。
「ね、ねぇあっちゃん!この観覧車、頂上でキスしたらそのカップルは永遠に…」
「幸せになれる」
そんなの知ってるよ。
だからわざわざこの遊園地に来たんだ。
芽依と二人でこの観覧車に乗るために、必死で岡田さんの機嫌を取って。
俺は迷信とか噂とか運命とか、そんなの信じるタイプじゃないけど
芽依となら、そういうのもありかなって思えるんだ。
*