ルナア薬
市バス
西暦2040年。

秋山博士は『ルナア薬』なるものを発明した。

この薬を飲めば半径三メートル以内にいる人間の気持ちがよめるのだ。

秋山博士の助手田中はその薬を飲み、バスに乗っていた。

満席ではあったが、田中は座ることができていた。


『菊穴駅~、菊穴駅です。夜肛門病院はここでお降りください』
車内アナウンスが流れる。

菊穴駅で、数人がバスに乗ってきた。

座席は既にうまっている。

乗ってきた客の一人である老婆が田中助手の前に立った。

田中が老婆に席を譲ろうとした時、老婆の心を田中はよんでしまった。

(あー。お尻が超絶痛いのう。痔の手術したところじゃからな。とてもやないが、座れんな。この若者が席を譲りませんように……)
老婆は祈っていた。

老婆の心を読んだ田中は席を譲るのをやめた。

しかし、今度は老婆の横に立っている女子高生の心をよんでしまった。

(なんなのこいつ! おばあちゃんが立っているのに席を譲らないなんて最低! 死んだらいいのに
(#^ω^)ピキピキ)
女子高生は超絶怒っていた。


違うねーん!! 俺はホンマはめっちゃいいやつやねん。席を譲らないのはおばあちゃんの為なんだよー!!
と田中は心で叫んだ。



< 1 / 7 >

この作品をシェア

pagetop