NA・NA・MI

「何かいい事でもあった?」



隣に並ぶ女を鏡で確認すると、菜実が立っていた。


アタシの色ぼけした頭は、一気に醒める。



「別に…」


「まぁ、いいけど。せいぜい、今を楽しんでなさいよ」


「何たくらんでんの?」


「別に。興味無いもん。人の物にはね!」



菜実はそう言って笑いながら出て行った。



人の物には興味無いだと?

神谷くんを取った癖に、どの口が言うんだよ?



気を取り直して、アタシは携帯に初めて番号とアドレスを入れた。




やっと来たよ。

アタシの本当に楽しい高校生活の幕開けだ。



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