NA・NA・MI
「俺の事嫌い?」
アタシは必死に頭を横に振った。
洋介はアタシの手を引っ張って、ホテルに入ろうとしたけど、アタシは意地でも動かなかった。
何かが違うんだ。
何かが…。
「じゃあいいよ!」
洋介は握っていたアタシの手を振り払うと、アタシを置いて歩いて行く。
アタシは何が何だか解らない。
「洋介ーっ!」
何回呼んでも、洋介は振り返らなかった。
今日はたまたま洋介の機嫌が悪かったんだ。
大丈夫、大丈夫。
アタシは何度も自分に言い聞かせた。
ダイジョウブ、ダイジョウブって……。