NA・NA・MI

アタシは506号室、【橘】と書かれた表札の前に立ち、インターホンを押した。



悲しく、音だけが響く…。


もう一回押して出なかったら、今日は帰ろう。


アタシはもう一度、インターホンを押した。



反応は無く帰ろうかと迷った瞬間、インターホンから父親の声がしたんだ。



「…奈菜か?どうした?」



ん?

カメラ付きってヤツですか?

まぁ、そんな事はどうでもいいんだ。


今日ここに来て父親をどう説得するか。それだけだ。



「ちょっと、話しがあるんだけど…いいかな?」

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