NA・NA・MI
「そっかぁ。売れっ子は大変だな」
「そんな事ないよ。シャワーでも浴びて来たら?」
「うん。そうするよ」
ハヤトの口から出た『売れっ子』の言葉にアタシは舞い上がった。
全然売れてないけどね。
ハヤトがシャワーを浴びに行き、脱ぎ捨てたスーツの匂いを嗅ぐ。
タバコの臭いと、香水の匂いが心地いいんだ。
アタシは髪の毛を2・3本抜くと、ハヤトのスーツのポケットに入れた。
悪い虫がつきませんように!てね。
少しすると、ハヤトは濡れている髪をタオルで乾かしながら出て来た。