NA・NA・MI
武器を捨てた日

アタシが客と寝る事を決心した時、携帯が鳴りビクンとした。


悪い事をしようと思った時の物音は必要以上に驚くんだ。


知らない番号だ。


気を取り直して電話に出た。



「はい」


「昨日は良いイブを過ごせたかい?」



昨日…?
クラブホワイトの糞ホストか?
いや、そんなはずはない。
他のホストに携帯番号を教えるような爆弾行為を、アタシがする訳がない。


アタシが黙ると電話の相手は言った。



「せっかく昨日は帰らせてあげたのに、楽しめなかったの?」



この言葉でアタシはやっと分かった。



「おじさん?」


「あぁ」



やっぱり……。
電話の相手は昨日の金持ちそうな客だったよ。

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