NA・NA・MI
「おはようございます」
「おはよ。ナミちゃん?今日は気合いが入ってていいじゃない」
店長が嬉しそうな顔をする。
アタシはドレスに着替え、待機席に座った。
客の殆んどが同伴で、アタシは店のドアが開く度にドキドキする。
だって今入って来た客が、アタシの初めての男になるかもしれないんだ。
面白いくらい、脚が震えるよ。
「顔が強ばってるわよ」
待機席の横をすり抜ける菜実が、ニヤリと笑って言った。
アタシの面白いくらいの人生の転落振りに、アタシが菜実でも笑っただろうな。