NA・NA・MI
結局職は見付からなくて、ネットカフェで過ごし金も底をついて来た。
ホームレスに一歩ずつ近付くアタシとは正反対に、菜実の人気は右肩上がりに上がって行っているのは、こんな生活をしているアタシにだって分かる。
アタシはふと寂しくなって田舎を思い出した。
ババァは元気だろうか?
アタシの部屋はまだあるのだろうか?
そんな事を考えていたら、アタシは知らない間に田舎に向かっていた。
カタンコトン揺れる電車は、アタシが東京に出た日の事を思い出した。
まだ何も知らなかったアタシ……。