NA・NA・MI

電車が田舎に近付けば近付く程、アタシは安堵感で満たされて行く。


あんなに出たくて仕方なかったこの田舎が……。



アタシは家の最寄り駅に着き、ゆっくりと電車を降りた。



駅の改札のおじさんは変わっていなくて、アタシは思わず挨拶をした。



「こんにちは。おじさん元気だった?」


「……。こんにちは」



駅のおじさんはアタシを見て不思議そうな顔をした。


アタシが顔を変えたから分からないんだ…。


ババァもアタシを分からないのか?


アタシの気持ちは安堵感から、一気に恐怖へと変わった。



もし気付いて貰えなかったら、アタシはこの世で1人ぼっちになってしまう。


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