NA・NA・MI

「菜実…ごめん…!」



二度と動く事のない、血まみれになった菜実の身体を、血の海から必死に救い上げ、アタシは思い切り抱き締めた。



昔ババァに言われた



『包丁は料理をする為に使う物よ』



そんな言葉を今更になって思い出して、アタシは笑った。



「ババァ…遅いよ…」



最後に会った時のババァの姿を思い浮かべると、どうしようもなく胸が痛くなる。




「ババァ…こんな娘でごめん…。アタシ…あの時一緒に暮らせば良かったよ…」




アタシは重くなった菜実の遺体を、少しずつ引きずって、窓際へと移動した。

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