NA・NA・MI
先輩は急ぎ足でトイレにアタシを連れて行き、トイレのドアが開いた瞬間、アタシは怖くて目を瞑った。
アタシを待ち構える先輩は何人いるんだ……?
「何やってるの?」
先輩の声に、恐る恐るアタシは目を開けると…。
先輩は不思議そうな顔をしてアタシの顔を見ていた。
「……?」
先輩はハンカチを濡らしてアタシに言った。
「貴女、佐藤さん?それとも橘さん?」
あっ、アタシと菜実の見分けがつかないのか…。
アタシは奈菜だと名乗っていいのだろうか?
アタシの悪い噂は、学校中に広がっているかもしれないんだ。