NA・NA・MI

「橘…です」



アタシは思わず菜実の名前を言ってしまった。



「そう。橘さんの方ね?これで香水を付けた所を拭き取るといいわ」



先輩は笑顔で濡らしたハンカチをアタシに渡した。



「…ありがとうございます」



アタシはハンカチで香水を拭き取る。


なんていい先輩なんだ


そう思っていた時、先輩が言った。



「橘さんの方で良かったわ。思わず連れて来ちゃったけど、佐藤さんは…色々悪い噂が多いから、橘さんって分かるまで少し後悔していたのよ」



…頭にきた。

さっきの言葉、取り消すよ……。

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