NA・NA・MI

「良かった」



満面の笑みで言う神谷くんは、王子様みたいだった。

絶望の高校生活を送っているアタシに、それでも頑張っているアタシに、神様がくれたプレゼントだ。



「やべぇ、授業遅れるな。じゃあ後で」


「うん」



神谷くんは走って出て行き、アタシは告白の余韻に浸っていた。


体育なんてやってる場合じゃないだろ。


アタシは少し時間を置いて、こっそりと非常階段に行くと、体育をしている神谷くんを盗み見した。


男子はサッカーをしていて、グランドを走り回る神谷くんは、やっぱりカッコいい。



< 67 / 425 >

この作品をシェア

pagetop